ジョーダン・トゥートゥー Jordin Tootoo ~イヌイットのヒーロー~

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Jordin Tootoo (ジョーダン・トゥートゥー)
(1983-)
Hockey player
Position:Winger
Shot:Right
Height:175cm Weight:90kg

Stuts

人口わずか三万余、その多くがイヌイットという北極圏のヌナブト準州で、ウクライナ系の母親と、多くの州議員を輩出しているイヌイットの名士の一族の父親の間にトゥートゥーは生まれた。

幼いころから兄と一緒に父にホッケーを学び、同様にキャンプやハンティングに連れ出され、失われつつあるイヌイット古来の生活様式を叩き込まれながら逞しく成長していった。

ジュニア時代からタフなプレースタイルで一目置かれ、2001年に全体98位でナッシュビル・プレデターズが指名。イヌイットが4大スポーツのドラフトで指名されるのは史上初の快挙であった。

2002年に兄が飲酒運転で逮捕された後に自殺する事件があったものの、2003年にはジュニア世界選手権にカナダ代表として出場して銀メダルを獲得。同シーズンに初昇格を果たすといきなり70試合に出場。
プレイ時間594分、4ゴール8ポイントの成績ながら、ゴール、アシスト、乱闘を1試合で達成するゴーディ・ハウ・ハットトリックを達成するなど印象的なプレーを見せて売り出した。

得点力には乏しいが、ラフプレー上等、乱闘上等のタフガイで、トラッシュトークも織り交ぜながら相手の気勢を削ぐ所謂アジテーターとしてNHL随一の評価を獲得。

懲戒を食らうこともしばしばのえげつないプレーの一方、チャリティーやボランティアに熱心な篤志家で、イヌイット出身という特異な出自も相まって高い人気を誇る選手であった。

名前にちなんだ背番号”22″を背負い、一見順調に見えたトゥートゥーのホッケー人生だったが、段々と酒に溺れるようになっていく。

イヌイットは本来酒を飲まないためアルコールに耐性が無く、アルコール中毒が社会問題になっているのだが、トゥートゥーもまさに酒で身を持ち崩して少しずつ成績を落とし、2009-2010年シーズンは51試合の出場に終わり、翌シーズン途中にアルコール中毒の矯正プログラムを受けるに至った。

だがこれが幸いし、54試合の出場に終わったもののポテンシャルが大幅に向上。チームのスタンレーカップファイナル進出に大きく貢献した。

ちなみに同年から子供のいじめと自殺防止を目的とした財団を立ち上げ、この活動が認められて2015年にはNHL財団賞を受賞している。

2012-2013シーズンから3年570万ドルの契約でデトロイト・レッドウィングスに移籍したのだが、デトロイトでは大きく成績を落とし、契約を1年残してバイアウト。トライアウトを経て2014-2015シーズンからはニュージャージー・デビルズへ移籍。

デビルズでは大きく持ち直し、2016-2017シーズンはシカゴ・ブラックホークスでプレーしたものの、故障もあって翌シーズン開幕前にウェーバー。その後フリーエージェントで復帰の機会をうかがっていたものの、2018年の10月19日にTwitterで引退を表明した。

通算13シーズンで723試合に出場。敵に回すと恐ろしく、味方に付けると頼もしいアジテーターが一人リンクを去って行った。

引退後は故郷に帰り、当地の子供たちのための活動に身を投じると言う。イヌイットのヒーローはリンクを去ってもヒーローであり続けるようだ。

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