レイ・ガイ Ray Guy ~黄金の脚~

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Ray Guy(レイ・ガイ)
(1949-)
American Footballer
Position:Punter
Collage: Southern Mississippi
Height:190cm Weight:88kg

Stats

 1973年のNFLドラフトは衝撃的だった。オークランド・レイダーズが全体23位でレイ・ガイを指名したのだ。ポジションはパンター。史上初のパンターの一巡目指名であった。

 当時のサザンミシシッピ大は確かにガイ一人でもっているようなチームだった。パンターとして93ヤードを決め、61ヤードのFGを蹴り、Sとしてチームレコードの8INTを記録してオールアメリカンに選ばれている。

 更には当時行われていたシカゴカレッジオールスターに選出され、マイアミ・ドルフィンズを向こうに回してMVPさえ獲得している。だが、1巡目指名はサプライズ以外の何物でもない。

 当時のレイダーズオフェンスはギャンブル的なロングパスを身上とし、そのギャンブルの負け分を踏み倒してくれる”用心棒”を必要としていた。ガイは荒くれ者たちの用心棒に三顧の礼で迎えられたのだ。

 ガイの時にヘルメットを蹴りつけてしまう程の強烈なキックから繰り出されるパントは1巡目指名に値するもので、ルーキーイヤーから69回のパントで3127ヤード、平均45.3ヤードを記録し、プロボウルに選ばれた。

 また、記録には残っていないが当時のキッカーはQBからコンバートされたジョージ・ブレンダで、恒例になって飛距離が出なくなり、しばしばガイが代わりにキックオフを蹴ったという。

 更に書類上は控えQBでもあり、何回かパスを成功させている。用心棒とは言うがこれはいきすぎだ。

 だが、ガイのパントの真価は距離ではなくハングタイムにあった。スーパードームの天井にボールをぶつける事の出来る選手は当時ガイだけであった。

 当時としては常識外れの時間を稼ぐガイのパントはリターナーの行き場を失わせた。そしてまごまごしていると深い位置でオフェンスチームより数段荒っぽいディフェンスの面々が襲ってくるのだ。

 むしろレイダーズをパントに追い込むのは危険とさえ言われる程であった。ガイこそレイダーズで一番恐ろしい存在であったのかもしれない。

 そして、NFLにおいてパントのハングタイムが計測されるようになったのはガイの活躍があったからである。ガイはまさにパンターの歴史を変えたのだ。

 以来、名実ともに最高のパンターとして6年連続でプロボウルに選出。失敗したらガイに任せればどうにでもなるとばかりレイダーズの面々は今まで以上に暴れ狂い、レイダーズは一層恐れられた。

 1976年にはスーパーボウルに初進出。ガイは4回のパントで162ヤードを稼ぎ、初進出でリングを獲得。以来オールプロにも3年連続で選ばれた。

 あまりのガイのパントが良く飛ぶことから、1977年にはボールにヘリウムが入れられているのではないかという疑惑が浮上した。ホームゲームではパントの度にニューボールが用意されていたのは事実で、ガイのボールを調べるチームが続出した。

 レイダーズならやりそうだと思わせるのは確かだが、真相はもはや分からない。しかし、後年科学番組の「怪しい伝説」でこの疑惑は検証され、ヘリウムが入っていようがいまいがボールの軌道に違いはない事が判明した。

 ガイ自ら番組に出演してインタビューに答えていたが、どこか誇らしげに見えたのは私だけだろうか?

 1979年にはプロボウルの選出が途切れたものの、1980年には二度目のスーパーボウルに進出。ワシントン・レッドスキンズを相手に7回のパントを蹴って244ヤードを記録。うち5回は20ヤード以内に相手を押し込む大活躍であった。

 7回もパントを蹴るという事はそれだけレイダーズオフェンスが派手に暴れた裏返しで、38-9の圧勝で2個目のリングを獲得。プロボウルにも返り咲き、ガイの面目躍如のシーズンであった。

 その後もレイダーズオフェンスの最終兵器として黙々とボールを蹴る日々を過ごし、1986年に14年の用心棒稼業から足を洗った。通算1049パント、44493ヤードという数字は今や目立つものではないが、パントで相手を恐れさせる事はもはや誰にもできないだろう。

 引退後はカレッジ最優秀パンターに贈られるレイ・ガイ賞が制定され、キッキングユニット向けのキャンプを主催。2011年には破産してスーパーボウルリングを手放す苦難もあったが、2014年にパンターとして史上初のプロフットボール殿堂に迎えられた。

 「これでチームが揃った」というスピーチのコメントがガイの現役時代のパントのように鋭い。ようやく殿堂に全てのポジションが揃った瞬間であった。

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